民法903条関係 債務の肩代わりが特別受益に当たるか
1 論点
債務の肩代わりが特別受益に当たるか
2 結論
相続人の債務を肩代わりして弁済すること自体は,相続人に対する贈与とはいえないが,相続人の当該債務が相続人の生活の破綻をもたらすような相当多額の債務であった場合で,かつ,被相続人が相続人の当該債務の肩代わりをした後に相続人に対する求償権を放棄した場合には,実質的に生計の資本としての贈与であるとして特別受益に当たる。
以上につき,木村敦子京都大学大学院法学研究科准教授・新基本法コンメンタール相続70~71頁,片岡武東京家庭裁判所部総括判事・第3版家庭裁判所における遺産分割・遺留分の実務257頁 ,松原正明東京家庭裁判所部総括判事・全訂判例先例相続法Ⅱ35~38頁,有地亨元九州大学教授・床谷文雄大阪大学教授新版注釈民法(27)補訂版203~204頁,高松家庭裁判所丸亀支部平成3年11月19日審判,大阪高等裁判所平成17年10月11日決定。